08 4からす二題

08 4からす二題

その一 三本杉のからす

 蔵敷の三本杉にはからすや尾長の巣があり、夕方はにぎやかな雀の宿となりました。
 中でもからすが多くて、木のてっぺんには十羽から十五羽位いつも止っています。いたずら者で下の畑で農作業の人が下(しも)こえ(人糞肥料)をまくとそれを見ていて、人がいなくなるとさっと降りてせっかくまいた下ごえをたべてしまったりしました。

 二月の終りから三月になる頃でしょうか。彼岸前でしたからまだ寒い時です。からすが五、六十羽で山全体を舞ったそうですが、これは年に二回位ありました。ボスみたいなのがいて他のからすはそれに従っていました。大きなからすでした。


その二 からすよけのおまじない

 はしぶとからすという大きなからすがいました。くちばしが太く、収穫の時になるととうもろこしを丸ごと茎からもいでくわえていってしまいます。これではたまらないのでおまじないをしました。縄を普通は右によるところを逆に左ないにし、畑の真中に長い竹を立てそこからその縄を四方へ何本か張りました。これで不思議にからすが来なかったそうです。(p182~183)